月報6月号をご覧いただき、誠にありがとうございます。
今月号では、ASEAN地域におけるM&A実行の現場で生じる「本社と現地拠点のギャップ」と、米国の相互関税がASEANおよびインドに与えた影響という、いずれも昨今の事業戦略を考えるうえで重要な2つのテーマを取り上げました。
前者では、成長投資の重要性が叫ばれる一方で、実際の意思決定に至るまでには多層的な合意形成やリスク評価が伴い、現場の努力が必ずしも実行に結びつかない構造が浮き彫りになっています。現地で案件を「見つける」だけでなく、「成立させる」ために必要な視点として、売り手側の動機を起点としたアプローチや、本社と現地が共通の前提を持つ重要性を述べていただきました。
また後者では、一見ASEAN全体に影響を及ぼすかのように見える通商政策が、実際には各国の輸出構造や産業特性によって大きく異なる影響をもたらしている点を丁寧に整理いただきました。ASEANを「ひとつの市場」として捉えがちな中で、その内実は多様であり、一国ごとの違いを踏まえた戦略の重要性を改めて感じさせる内容であったかと存じます。
足元では中東情勢など外部環境の不確実性も続いており、各国が置かれている状況や課題の違いが一層際立っているように感じられます。シンガポールに拠点を置き、ASEAN全体を統括する立場にある日系企業さまも多い中で、本号がASEANの複雑性と向き合い、より解像度の高い意思決定を行う一助となれば幸いです。
末筆ながら、ご多忙の中ご執筆いただいた皆様、そして本月報をお読みいただいた皆様に心より御礼申し上げます。
(編集後記担当:NIKKEI GROUP ASIA PTE LTD 岩﨑 史香)
