2026年6月号(No.667)バックナンバー
着任のご挨拶(ITOCHU SINGAPORE PTE LTD)
シンガポール日本商工会議所の皆様、伊藤忠シンガポールの猪股和彦と申します。前任で3月まで理事を務めておりました瀬尾の後任として、本年4月にシンガポールに着任し、理事ならびに貿易・運輸部会の副部会長を拝命いたしました。日本・シンガポール外交関係樹立60周年という大きな節目の年に、このような重責を担わせていただくこととなり、身の引き締まる思いでおります。微力ではございますが、会員企業の皆様のお役に立てるよう誠心誠意努めてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
簡単に自己紹介をさせていただきます。1992年に伊藤忠商事へ入社して以来、30年以上にわたり、一貫して石油・ガスなどエネルギー関連のビジネスに携わってまいりました。今現在中東で起こっているような地政学リスク、また環境・エネルギー政策の転換など、エネルギー業界は常に大きなうねりの中にありますが、そのダイナミズムに魅了されつつ、トレーディングや投資案件などに取り組んでまいりました。アジア通貨危機、9.11、SARS、リーマンショック、アラブの春、コロナ禍、ウクライナ侵攻といった世界情勢の変化の折には、その影響をエネルギー市場の最前線で体験してまいりました。
シンガポールには、以前にも、2005年から2012年の7年間駐在しておりました。当時は、アジアの石油需要の伸びに伴い、エネルギートレーディングの拠点としてシンガポールがますます存在感を高めていく真っただ中であり、石油メジャーやトレーダー等、世界中のプレーヤーがしのぎを削る現場で、貴重な経験をさせていただきました。
その後も年に数回は出張でシンガポールを訪れており、私にとっては第二の故郷と言っても過言ではありません。今回、約14年ぶりに再び駐在員として戻ってくることができ、懐かしさと同時に、新たなチャレンジへの高揚感を抱いております。
一方で、シンガポールを取り巻く環境も、この十数年で大きく変化し、デジタル化や脱炭素の流れが加速する中、ビジネスモデルは多様化し、ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えてさらに活発に行き交うようになっていると感じております。サプライチェーンの再構築やエネルギートランジションへの対応など、企業が直面する課題は複雑化しておりますが、その分だけ新しいビジネスチャンスが生まれてきていると思います。こうした変化のただ中にあって、日本企業にとってシンガポールは依然として、そしてこれまで以上に、アジアのハブとして重要な役割を果たす存在であると強く感じております。
伊藤忠商事がシンガポールに前身となる代表事務所を設置したのは、外交関係樹立にさかのぼること10年前の1956年であり、本年で70年の節目を迎えます。この間、エネルギー・化学品・機械・生活消費関連など、幅広い分野において、シンガポールを含むアジアでのトレーディングおよび事業投資のハブとしての役割を担い、シンガポールの経済発展とともに歩んでまいりました。先人たちが築いてきた信頼と実績を大切にしつつ、今後も地域社会の一員として、持続可能な成長に貢献していきたいと考えております。
商工会議所の理事としては、会員企業の皆様との情報交換やネットワーキング、行政との対話等の場を通じて、少しでもお役に立てるよう努めてまいります。特に、エネルギーや脱炭素、サステナビリティといった分野は、業種を問わず多くの企業に共通するテーマであり、私自身のこれまでの経験が多少なりともお役に立てれば幸いです。
最後になりますが、会員企業の皆様、事務局の皆様、そしてご家族の皆様のますますのご健勝とご発展を心より祈念申し上げるとともに、今後ともご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。