日系企業がハラル認証、HalMQを導入するにあたって
東南アジアでの事業の展開及び拡大を目指して、ハラル認証、HalMQ導入を検討する日本企業は増加すると考えられる。ISO22000やFSSC22000の土台が整った工場であれば、HACCPの構造を使って比較的容易にHalMQを導入できると言われているが、実際の運用設計の場面では課題に直面することも多い。今回、本稿執筆にあたり行ったWSFハラルオフィサーへのインタビューを通して得られた知見や、ハラル認証導入企業が直面するであろう課題をご紹介したい。
〇優秀且つ敬虔なムスリム人材の確保
ハラルが保証する「宗教的・概念的な正当性」の理解には、イスラムの教えへの深い理解が不可欠であり、ISO22000/FSSC22000のように、「科学的・物理的安全性」を尺度に判断できないことも多い。最低2名のムスリム従業員を配置し、そのうち少なくとも1名を試験に合格したハラル保証責任者(ハラルオフィサー)として任命することが、ハラル認証取得のために義務付けられているが、規則以前にもっと実践的な理由から、優秀なムスリム人材の確保は必須要件である。またハラルオフィサーには、企業の論理や生産効率よりも、イスラム法の遵守を最優先とする厳格な宗教的倫理観が求められるため、敬虔なイスラム教徒である必要がある。日常生活で戒律を守らない者は、ハラルオフィサーの任務においてもルールを破ると見なされるからだ。
〇ハラル認証導入スキームの検討
WSFのような食品製造業であれば、「Whole Plant Scheme(工場全体)」か「Product Scheme(製品単位)」か、を選んでハラルを導入する必要がある。前者であれば、工場の敷地内に存在するすべての原材料、製造ライン、保管スペース、完成品が100%ハラルの対象となり、交差汚染防止の難易度は下がるものの、工場内で非ハラル製品を製造することは許されない。後者を選択する場合は、製造できる製品の幅は広がるものの、交差汚染を防止するための現場管理の難易度は格段に上がる。
〇Product Scheme(製品単位)を選択した場合の交差汚染防止対策
Product Schemeを選択した場合、現場での最大の課題は、ハラル認証原料とハラル非認証原料の識別、管理である。WSFでは、日本向け製品において非ハラル原料の使用を求められることもあるため、製品単位スキームを選択し、ラインごとにハラル対応の有無を決めている。非ハラル原料をハラル認証ラインで使用することは決して許されないため、非ハラル品には識別コードをつけ、保管場所も分けることで管理を行っている。
〇輸入国側のハラル規制の確認
MUISは世界で最も古く信頼性の高いハラル認証機関の一つであるが、輸入国によっては相互承認されていない(または承認に条件がつく)事例もある。イスラム教は地域や学派によって教義の解釈が異なるため、輸出の際は、輸入側の工場監査基準、屠畜規定、微量アルコールの残存許容量など、ローカルの規制要件を確認する必要がある。