はじめに
病気ではない。しかし、万全でもない。
シンガポールで日本人のビジネスリーダーの方々にお会いしていると、健康意識の高い方が非常に多いことに気づきます。ランニングを習慣にされている方、マラソン大会に出続けている方、週末にサッカーやゴルフなどのスポーツに汗を流す方も少なくありません。
一方で、健康診断では大きな異常がないのに、「昔より疲れが抜けない」「会食の翌朝に頭が回らない」「午後の会議で集中が切れる」「出張後の回復に時間がかかる」と感じている方も多いのではないでしょうか。病気ではない。しかし、万全でもない。こうした状態は、忙しさや年齢のせいとして片付けられがちです。
ただ、現地法人や地域事業を預かる立場にある方にとって、自身のコンディションは個人の健康問題にとどまりません。日々の意思決定の質が、そのまま組織のスピードと成果に直結するからです。
睡眠、運動、食事、ストレス管理。自身のコンディション管理において向き合うべきテーマは多くありますが、本稿で取り上げたいのは、近年世界的に注目されている腸内環境という視点です。なぜ腸がコンディション管理の入口になり得るのか。そして、感覚に頼らず自分の状態を可視化することに、どのような意味があるのか。世界の研究動向と、シンガポールやASEANの実践も交えながら考えていきます。

