新年あけましておめでとうございます。
2025年は、国際秩序の再編が一段と鮮明になった一年でした。米国での政権交代を契機に、貿易や供給網の前提が揺らぎ、各国が自国優先の姿勢を強めるなか、ASEANもその影響のただ中にあります。会員企業の皆さまも、為替や物流、サプライチェーンの再構築などを通じて、地政学リスクの現実を改めて実感されたことと思います。こうした時代こそ、単なるリスク回避ではなく、「変化を先取りし、新たな価値を創造する」姿勢が求められていると思います。
シンガポールは建国60周年(SG60)を迎えた節目の年に、次の60年に向けた国家ビジョンを力強く示しました。ローレンス・ウォン首相はNational Day Rallyで、AIやデジタル経済分野を中心に、世界のハブとして先頭を走り続ける決意を明確にしました。環境変化を恐れず、新しい制度を提案し、周囲を巻き込んで前進するシンガポールには、私たちが学ぶべき変化への対応力と、先を読む胆力が凝縮されています。
そんなシンガポールは今、日本を頼りにしてくれています。米中の対立や技術覇権競争が世界に不確実性をもたらすなか、シンガポールは信頼できるパートナーとしての日本との協力を一層重視しています。このモメンタムを活かし、信頼を基軸とするアジアの新たな成長モデルを共に築いていくことが、私たちに求められていると感じますし、是非みなさんの英知を結集してこの局面をポジティブに乗り越えて行きたい、乗り越えて行ける、と感じています。
運輸・物流の分野でも大きな潮流変化が進んでいます。国際海事機関(IMO)がネットゼロ方針の採択を一時延期しましたが、シンガポールは戦略的延期の合意形成のキープレイヤーとして活躍し、その調整能力を改めて世界に示しました。シンガポールはLNG・メタノール・アンモニアといった低・ゼロ炭素燃料のバンカリング実証を加速させています。世界の燃料供給を支えるハブ港として、ルールメイキングから人材育成まで一体的に取り組む姿勢は、まさに“先を創る”国家像の象徴です。私たち企業もまた、単に制度に従う存在ではなく、新しい仕組みを共に形づくる主体でありたいですね。運輸・エネルギー・デジタルの交差点にこそ、次の競争優位が生まれると確信しています。
斯様な状況下、貿易・運輸部会では、昨年、勉強会や講演会、第一工業部会との共催による懇親ゴルフを実施し、学びと交流の機会それぞれが充実しておりました。2026年も引き続き、世界の変化を冷静に見つめながら、シンガポールのように先を見据え、自ら新しいモデルを創る姿勢で皆様と一緒に臨んで参りたいと思います。
本年が皆さまにとって健やかで、実り多い一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

