シンガポール日本商工会議所の皆様。清水建設シンガポール営業所の延藤 創(のぶとう はじめ)と申します。2023年の4月に赴任し、今年の4月より理事と、建設・不動産部会の副部会長を併せて務めさせて頂くことになりました。少しでも皆様のお役に立てるように精一杯努めて参りますので、何卒宜しくお願い致します。
最初に自己紹介をさせていただきますと、1998年入社で国内の建設現場で5年間エンジニアとして従事した後、2003年にシンガポールに赴任いたしました。ちょうど中国・香港・台湾を中心に猛威を振るった新型肺炎SARSが流行しており、少し不安を抱えていたのを今でも覚えています。最初のプロジェクトはチャンギ空港第3ターミナルでした。言語や文化の違う様々な国籍の発注者、コンサルタント、スタッフ、下請け業者を相手に大変苦労をしましたが、その当時の最先端の技術を導入した第3ターミナルはいまでもタイムレスなデザインで空港利用者を惹きつけています。2025年世界のベスト空港にチャンギ空港は13回目の総合トップとなり、そのプロジェクトに携われたことは自分の大きな財産となっています。その後2013年まで大型複合プロジェクトに従事し、2013年から2023年まではジャカルタで現地の財閥系発注者の複合施設や、日系不動産企業様の超高層案件に、当社が投資・設計・施工と三位一体で取り組んだ案件のプロジェクトダイレクターを務めさせていただきました。ジャカルタの都市の発展に少しでも貢献できたのではないかと思っております。そして2023年の4月に思いもよらず2度目のシンガポール赴任となりました。現在通算で12年間住んだことになり、私にとって本当に愛着のある都市となります。
続きまして、弊社の当地でのこれまでの事業活動に触れさせていただきます。1973年にシンガポールに進出し、当初は日系製造企業の建設プロジェクトを中心に取り組ませていただき、80年代以降は同国企業や政府発注の大型工事にも参画するようになりました。東南アジア随一の目抜き通りオーチャードロードにあるニーアン・シティや先ほどもふれました、チャンギ国際空港第3ターミナルなどのランドマーク、地下鉄や工業地域ジュロン島における石油化学プラントをはじめとするインフラプロジェクトを多数手掛けてきました。また、建設事業のみならず、投資開発事業も活発に展開しています。2015年竣工の高級コンドミニアムに始まり、データセンター、オフィスビルなどの投資実績があります。
近年ではDX活用やプレファブ化などの導入活用を進めるところ、「シンガポール国立がんセンタープロジェクト」が2023年9月にシンガポール建設業界最高の栄誉である建築環境変革賞を受賞し、病院建築の実績を積み上げています。同年11月にはDesmond Lee国家開発大臣、石川浩司駐シンガポール日本国特命全権大使を主賓にお迎えし、弊社施工のパンパシフィック・オーチャードホテルにて50周年記念パーティーを催しました。ステークホルダーの皆様に深く感謝する中で、これまでの歩みを盛大に祝い未来への決意を新たにいたしました。現在、スタッフ総数は400名に上り、医療保健施設、研究施設、空港関連施設等で総合建設サービスをご提供しております。
昨今シンガポールの建設業界における喫緊の課題は労働者不足や脱炭素社会への対応と理解しており、弊社でも省エネルギー・再生可能エネルギー技術の開発を通じ、それらの課題解決に取り組んで参ります。お客様や社会が持っている本質的なニーズを深く掘り下げ、共に課題を解決し、建設などの活動を通して新しい価値をお客様や社会に提供するという「超建設」の理念を掲げております。今後はJCCIでの活動におきましても、建設・不動産部会の皆様、異業種の方々との交流を通し、活動することで、シンガポールのさらなる発展に寄与していく所存です。
最後になりますが、会員企業の皆様、事務局の皆様、ならびにご家族の皆様の益々のご健勝を祈念してご挨拶とさせていただきます。