シンガポール日本商工会議所の皆様、富士通アジアの森田と申します。本年5月にシンガポールに赴任し、11月より理事を務めさせて頂くことになりました。少しでも皆様のお役に立てるよう精一杯努めて参りますので、どうぞよろしくお願い致します。

私は2007年に富士通株式会社へ入社以来、18年間にわたり一貫して日系企業のお客様の営業業務に携わってまいりました。2016年からの3年間は北米に赴任し、当地の日本企業様のグローバル展開支援を担当いたしました。帰国後は国内でソリューション企画や役員秘書官業務のセクションを経て、2025年5月よりここ富士通アジアに着任しております。これまでの経験を通じて、国内外で活躍される日系企業の皆さまが持つ強みと、海外市場で直面する課題の両面を見てまいりました。この経験を、JCCIでの活動にも活かしていきたいと考えております。

富士通は、日本発のICT企業として長年にわたり、社会やビジネスのデジタル化を支え続けてまいりました。ここシンガポールでは、アジア地域における統括拠点として、製造業、流通、金融、公共分野など、幅広い業種のお客様とともに、ITを通じた経営改革や新たな価値創出に取り組んでおります。近年では、クラウドやAI、データ活用、サステナビリティといったテーマを中心に、日系企業の皆さまの現地ビジネスを支援する活動を進めています。

シンガポールおよびASEAN地域は、経済的なダイナミズムと多様性が共存する非常に魅力的な市場です。一方で、地政学的変化や人材確保、デジタル変革のスピードなど、企業を取り巻く環境は年々複雑さを増しています。そのような中においてこそ、日本企業ならではの品質・信頼・誠実さと、地域の多様性を掛け合わせ、新しい価値を共に創り出していくことが重要だと感じております。JCCIは、まさにその「共創の場」としての大きな可能性を持っています。会員企業の皆さまが業種や規模を超えて情報を共有し、課題を分かち合い、互いに学び合うことで、新たなイノベーションやビジネスチャンスが生まれる——。そのような好循環を支える一助となれるよう、理事の一人として積極的に活動を推進してまいりたいと思います。

また、私自身の経験を通じて強く感じるのは、技術の進化はあくまで「人」を中心に据えてこそ真価を発揮するということです。富士通では「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスを掲げていますが、その理念は、JCCIが目指す「日系企業の発展を通じた地域社会への貢献」という使命と深く重なります。テクノロジーと人の力を結びつけ、より良い社会を共に創っていくことが、これからの私たちの責務だと考えております。

結びにあたり、これまでJCCIの活動を支えてこられた諸先輩方への敬意を表しますとともに、今後とも皆さまの温かいご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。微力ながら理事して、皆さまと共に歩みながら、JCCIのさらなる発展に尽力してまいります。

最後になりますが、会員企業の皆様、事務局の皆様、ならびにご家族の皆様の益々のご健勝とご多幸を心より祈念し、ご挨拶とさせていただきます。