このたび、2025年4月1日付でIHIアジアパシフィック社の社長に就任し、同時にシンガポール日本商工会議所の理事を拝命いたしました幸村秀樹と申します。まずは、こうした機会をいただきましたことに深く感謝申し上げます。日本商工会議所の長い歴史と伝統を引き継ぎながら、シンガポールにおける日本企業の活動を支える一助となれるよう努めてまいります。

私はこれまで、電力およびエネルギー分野を中心に、日本国内外での事業運営やプロジェクト開発に携わってまいりました。1987年に東京電力に入社して以来、建設部門や燃料調達部門での業務に加え、JICA専門家としてベトナムに派遣され、電力システム計画の策定支援を行いました。その後、国際部や燃料部での業務を経て、2019年からはJERA  Australia PTE LTDの社長として、オーストラリアにおけるエネルギー事業の拡大に取り組んでまいりました。そしてこのたび、IHIに入社し、アジア地域の統括拠点であるIHIアジアパシフィック社の社長として新たな挑戦を開始する運びとなりました。

IHIは、1960年代からシンガポールでの事業を展開しており、半世紀以上にわたる歴史を持つ企業です。シンガポールはIHIにとって、東南アジア市場への重要なゲートウェイであり、当社の事業発展に欠かせない拠点です。これまで、造船事業をきっかけに、港湾物流設備をはじめとする産業インフラの提供や、発電所、石油化学プラントの建設、航空エンジン部品の製造・メンテナンスなど、多岐にわたる分野で活動してまいりました。また、近年では、再生可能エネルギー技術や環境保護ソリューションの提供を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しています。

特に港湾設備分野では、IHIが提供するクレーンや物流機器がシンガポールの主要港湾施設に導入されており、この地の物流ネットワークの効率化に貢献しています。また、エネルギー分野では、高効率な発電設備や環境負荷の少ない技術を提供し、シンガポールのエネルギー需要を支えています。このような事業を通じて、IHIは地域社会との信頼関係を築きながら、東南アジア全域での成長を支えてきました。

私自身、これまでのキャリアを通じて、電力・エネルギー分野における事業開発や国際協力に携わってまいりましたが、このたびの新たな役職を通じて、IHIのシンガポールでの事業をさらに発展させるとともに、地域社会やパートナー企業の皆様に対して、より大きな価値を提供できるよう全力を尽くしてまいります。

また、シンガポール日本商工会議所の理事としても、会員企業の皆様の活動を支え、日星両国の経済交流および文化的なつながりをさらに深めるための橋渡し役を務めたいと考えております。シンガポールは、アジアにおけるビジネスやイノベーションの中心地であり、多様な文化が共存する活気ある都市です。この地での活動を通じて、日本企業の競争力を高めるための情報交換やネットワーキングの場を提供し、共に発展していくための基盤を築いていければと願っています。

商工会議所の活動を通じて、会員の皆様と積極的に交流し、さまざまな知見や経験を共有させていただければ幸いです。また、シンガポールというダイナミックなビジネス環境の中で、日本企業が直面する課題や機会についても共に考え、解決策を見いだすお手伝いができればと考えております。

最後になりますが、皆様のご支援とご協力を賜りながら、シンガポールでの新たな挑戦に取り組む所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。皆様のご健勝とご多幸、そしてシンガポール日本商工会議所のますますの発展を心よりお祈り申し上げます。