シンガポール日本商工会議所の皆様、三菱ケミカルシンガポールの清水と申します。昨年10月に着任し、JCCI広報委員を担当してまいりましたが、この度12月1日付で矢島の後任として理事に就任いたしました。微力ながら会員の皆様のお役に立てるよう努めますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

当社は30年以上にわたり、シンガポールを拠点に食品包装材や自動車・電機部品向け樹脂原料、建築材料などの機能性素材を販売してきました。東南アジアのみならず、インド、アフリカ、オーストラリア、台湾など幅広い地域で事業を展開しています。昨年10月からは、アジア地域の統括会社として、ガバナンスやコンプライアンス、人事、経理、デジタル、サプライチェーン、マーケティング戦略などの機能を集約し、本格的な活動を開始しました。地域特性を踏まえ、試行錯誤しながら運営を進めておりますので、皆様から学びつつより良い形を目指したいと考えています。

私は愛媛（今治）のミカン農家で育ち、京都大学農学部で微生物生産学を専攻し、製薬企業に研究者として入社しました。研究者としての期間は短かったものの、企画や戦略、技術情報分析などを通じて医薬品開発に長く携わりました。2000年には米国駐在員として欧米開発を推進し、女性初の駐在員として注目されました。西海岸に2年、東海岸に8年滞在し、米国のみならず欧州や南米の関係者と協働する中で、視野を大きく広げる人生の転機となりました。

第二の転機は研究開発から法務、さらに医薬からケミカル部門への転身です。ケミカル事業はスピード感があり、法務として多様なディールに関わりました。2018年からはドイツ駐在員として4年間、欧州地域のガバナンスや法務を統括する会社に所属し、社長補佐として人事、総務、IT、経理など幅広い業務を経験しました。

シンガポール駐在では、欧州での経験を活かし、アジア地域における統括会社のプレゼンス確立を目指しています。アジアは多様な文化・価値観を持つ国々が緩やかに結びつく地域であり、統括会社の運営は柔軟性が求められるチャレンジングな課題です。その中で商工会議所の要職をいただけたことは、私にとって第三の転機です。皆様との交流を通じて知見を広げ、日星両国の発展に貢献できれば幸いです。

最後に、シンガポール建国60周年（2025年）、日星国交樹立60周年（2026年）という節目に、商工会議所活動に参加できることを感謝申し上げます。会員企業、事務局、ご家族の皆様の益々のご健勝を祈念し、ご挨拶とさせていただきます。