今月号では、インドにおける新たな個人情報保護法と、2030年を見据えたAI時代のマーケティング戦略という、企業活動に直結する二つの重要テーマを取り上げました。
インドの「2023年デジタル個人情報保護法」は、従来のIT法に基づく限定的な規制から大きく転換し、デジタル個人情報全般を対象とする包括的な枠組みを導入しています。インド市場に関わる日系企業にとっては、法令遵守とデータ管理体制の見直しが必要となるでしょう。
一方、AI技術の進化は、マーケティングの在り方を根本から変えつつあります。顧客との関係性は、単なる情報提供から価値共創へとシフトし、企業は「データ×創造性×倫理」のバランスをいかに取るかが問われています。2030年を見据えた戦略構築には、テクノロジーの可能性を活かしつつ、人間中心の視点を忘れないことが重要です。
本誌ではこれまでにも、地域の法制度や経済動向、企業の取り組みを多角的に紹介してまいりました。2025年はシンガポール建国60周年「SG60」、2026年には日・星外交関係樹立60周年「SJ60」と、両国の関係が新たな節目を迎える中、企業活動もまた新たな展開を迎えています。こうした歴史的背景を踏まえつつ、アジアのダイナミズムを捉える視点を持つことが、今後ますます重要になると感じています。
末筆ながら、本号の寄稿にご協力いただいた執筆者の皆様に心より御礼申し上げます。また、月報の企画・編集・発行に尽力いただいている事務局および関係者の皆様のご支援に深く感謝申し上げます。今後も、時代の変化を映し出す多様なテーマを取り上げ、情報発信を続けてまいりたいと思いますので、引き続きご愛読いただきますようお願い申し上げます。
(編集後記担当:MITSUBISHI CHEMICAL SINGAPORE PTE LTD 清水 美保)

