JCCI賃金調査委員長
今村 英智
会員各位
National Wages Council (NWC) 2025/2026 Guidelines発表のお知らせ
いつも大変お世話になっております。
11月11日、NWCより「National Wages Council (NWC) 2025/2026 Guidelines」が発表されました。本ガイドラインの対象は2025年12月1日から2026年11月30日までの期間となります。
＜主なポイント＞
・＜賃金引上げは公平かつ持続可能でなければならず、雇用主は変動賃金制度（FWS）を採用すべき＞
a. 賃金上昇は生産性の向上に沿うべきである。
b. NWC は雇用主に対し、公正かつ持続可能な賃金引上げによって従業員に報い、労働生産性の向上から得た利潤を分け与えるよう奨励する。
c. 企業が短期的なコスト圧力に直面しており、また、世界経済の下振れリスクが続いていることを認識している。こうした状況は、いずれも賃金に柔軟性をもたせる必要性を強調するものである。したがって、NWC は FWS をまだ実施していないすべての雇用主に対し、年間当たりの変動部分（AVC）と月間当たりの変動部分（MVC）の両方からなる FWS を完全に実施するよう要請する。
d. すべての雇用主は、FWSを実施するべきである。
e. 業績および見通しがよい雇用主は、企業業績と従業員の貢献度に見合った基本給および変動給（AVC、ボーナス、一時金など）の引上げで、従業員に報いるべきである。
f. 業績がよいが見通しが不透明な雇用主は、基本給の引き上げを控えめにすることができるが、代わりに変動給の引上げで従業員に報いるべきである。
g. 業績がよくなかった雇用主は、
・経営陣が範を示すことで賃金抑制を実施することができる。
・特に従業員のスキルアップに投資することで、事業プロセスと生産性を改善するよう、一層の努力をしなければならない。
・業績結果がよくなかったが今後の業績見通しが良い雇用主は、適切な事業指標に連動した将来的な変動給を検討することもできる。
・＜低賃金の従業員（LWWs）のための持続的な賃上げの推進＞
a. 業績がよく先行き見通しも明るい雇用主はLWWs の基本給について、月間給与総額の5.5 ％から 7.5 ％までの高い方、または最低 $105 から $125 の増額のいずれか高い方で、引上げを実施すべきである。
b. 業績はよかったが、先行き見通しが不透明な雇用主は、LWWs の基本給について、月間給与総額の 5.5 ％から 7.5 ％までの伸びの半分以下、または最低 $105から $125の増額のいずれか高い方で、引上げを実施すべきである。
c. 業績がよくなかった雇用主は、LWWs の基本給について、月間給与総額の 5.5 ％から7.5 ％までの低い方で、引上げを実施すべきである。その後、経営の見通しが改善した場合は、雇用主は追加で賃上げを検討すべきである。
・＜仕事の変革と労働力のスキルアップを推進する＞
a. 将来の仕事のために従業員を訓練（Upskill, Reskill）する。
b. 事業変革に合わせて職務を再設計し、生産性を向上させる
c. すべてのキャリア段階において従業員を訓練する能力を構築する。
d. 企業変革を支える人事能力を強化する。
従業員は自身のキャリア形成に積極的に関わり、需要の高いスキルを身につける機会を見つけるよう奨励されている。また、すべてのキャリア段階にある労働者を支援する国家プログラムを活用することができる。
・＜ガイドラインを実施する際に、雇用主が取るべき対応＞
a. 賃金交渉を円滑に進めるために、組合と会社の賃金情報、事業の業績や見通しなどの情報を共有すること。
b. シンガポール全国雇用者連盟（SNEF）および業界団体、商工会議所、全国労働組合（NTUC）や各労働組合と連携し、ガイドラインの適用に関する助言や支援を求めること。
詳細は、下記URLよりご参照ください。
あわせて、主要なポイントに関するインフォグラフィックを下記よりご参照ください。
どうぞ宜しくお願いいたします。
【本件担当】シンガポール日本商工会議所事務局（Wendy）
6 Shenton Way, #17-11, OUE Downtown 2, Singapore 068809
E-mail: wendy@jcci.org.sg DDI: 63991129
